当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束するような契約を請負契約と言う。家の建築工事、洋服の仕立て、物品の運搬などが請負契約に該当する。
請負契約では労務の供給そのものが目的ではなく、仕事の完成が目的である点に最大の特徴がある。
請負契約については民法第632条から第642条で規定されている、建設工事に関しては「建設業法」による規制があり、さらに「建設工事標準請負契約約款」と呼ばれるモデル契約書が存在している。
請負契約の一般的な内容は民法では次のとおり。
1.請負人は、仕事の目的物(例えば家屋の建築工事ならば家屋を指す)を引き渡すと同時に、報酬を請求することができる。(民法第633条)
2.注文者は、仕事の目的物に瑕疵(欠陥のこと)がある場合には、その修補を請求し、損害賠償を請求することができる。(民法第634条)
3.注文者は、仕事の目的物に瑕疵(欠陥のこと)がある場合において、そのせいで契約の目的を達成できないときは請負契約を解除できる。(ただし建物工事請負契約については解除できない)(民法第635条)
4.上記2.3.の規定は、注文者の指図等により瑕疵が発生した場合には適用しない。(民法第636条)
5.上記2.の瑕疵修補請求権・損害賠償請求権は、仕事の目的物を引き渡したときから1年間に限り行使することができる。ただし、仕事の目的物が土地の工作物(建物等)であるときは5年間行使できる。また、仕事の目的物が石造・金属造などの工作物(建物等)であるときは10年間行使できる。(民法第637・638条)
6.注文者は仕事が完成する前においては、いつでも、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。(民法第641条)